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朝日新聞のスウェーデン記事(1)

 最近の欧州事情に関するマスコミ報道はEU議会の選挙の話題が多かったが、6月9日の朝日新聞生活面(P29)にスウェーデンの記事が載っているのを見つけた。タイトルは「欧州の安全」というもので、シリーズでスウェーデンやドイツなどのセーフティーネットの事情を紹介していくのだという。
 第1弾となる9日の「老いを支える(上)」では、スウェーデンの介護事情を伝えている。ヨーテボリ市から車で40分のところにある「ハーリーダ市(Härryda Kommun)」に住む91歳の女性を取材し、その市には行政に「何でも屋」があるのだという。カーテンや電球を取り換えてくれたりするのだそうで、市が3年前から始めた事業なのだという。きっとこの手の事業を日本でやると民業圧迫だとか言われそうだが、この市では高齢者が家庭内の力仕事などを市の職員が代行してやることで転倒によるケガなどを防ぎ、介護や医療費用の削減を抑える狙いがあるのだという。そのスウェーデン人女性も、「家族は仕事で忙しいので、市にお願いする方が気楽」と典型的なスウェーデン人らしいことを言う。
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 このサービスはちょっと面白そうなので、ハーリーダ市のHPを見てみると、その中で紹介されていた(→リンク)。このページによると、「修理サービス」と称した行政サービスで、内容は朝日新聞の記事のとおり、依頼があれば市の職員が75歳以上の在宅高齢者の家を訪問し、無料でカーテン交換や電球交換を行うのだという。ただし、あくまで公務員の素人仕事なので、外壁の塗装などはできず、屋内での仕事だけなんだそうだ。目的もやはり、高齢者の転倒防止なのだとはっきり書いてある。
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 スウェーデンは公的福祉という側面が強いが、最近は変化もあるのだという。その一つがボランティアの存在。ハーリーダ市にはボランティア組織があり、施設を訪ねて認知症の人の世話をしたり、高齢者の話し相手になったりするのだという。といっても、ボランティアを行う会員も年配者が多いのだそうだ。ボランティアが生きがいとなり、介護される側になるのを防ぎ、介護費用抑制効果を期待されているのだそうだ。ちなみに、ボランティア組織の拠点の家賃240万円は市が負担しているのだとか。
 もう一つ、非常に興味深いのが、スウェーデンでも家族介護の役割が見直され始めたのだという。その一つに、介護者の家族への援助を義務付ける法律が7月に施行されるのだという。(←この法律の内容をもしご存じの方がいましたら、ぜひ情報提供ください。)ハーリーダ市はすでに支援金を出しているそうで、月額約2万8千円だという。日本では取り入れられなかった家族介護への支援金。ドイツなどではやってるらしいですが、スウェーデンでもその目的は介護費用の抑制なのです。家族に支払った方が、社会全体のトータルコストとしては安く済むという目論見なんでしょう。日本でもこの家族介護手当、けっこういいヒントになると思うのですけどね。

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コメント

kintaさん
お久しぶりです。

ハーリーダ市のような何でも屋さんは私の市にも男性が一人います。仕事内容はこの市と同じように、主に高齢者が負担と感じていることや事故に繋がりそうなことを代行サービスです。詳しい内容は、以前紹介させていただいた藤原るみさんの本にも書かれてありましたので、そちらをご覧いただければと思います。

また家族介護費については、まだ聞いたことがありません。というよりも、自分でもこの観点を削除していたところもあるので、要介護者のいる家族の方に話を聞けるときがあれば訊ねてみます。

投稿: ☆ | 2009年6月10日 (水) 17時18分

再び失礼します。
家族介護費について記載されているパンフレットを見つけたのでご紹介させてもらいます。

http://www.eslov.se/download/18.6c8603cb107de19ee7a8000201/Bistandsbed-04.pdf

このパンフの3ページ目に少しですが情報があります。
· Anhörigbidrag
Detta kan man få när den anhörige svarar för ett omsorgsbehov av mer omfattande karaktär.
Ersättningen är ett fast belopp per månad som baserar sig på antalet timmar som beviljats per
dag enligt en särskild bidragsmall.
De som vårdar en anhörig eller närstående har möjlighet att erhålla stöd och avlastning från
socialtjänsten.

詳しい金額等は書かれていません。
また何か見つけたら、ご報告にあがります。

投稿: ☆ | 2009年6月10日 (水) 18時51分

☆さん

貴重な情報をありがとうございます。

代行サービスは、他の自治体でもあるのですね。知らなかったです。

家族介護手当は、☆さんの情報のとおり、一般的には"Anhörigbidrag"とか"hemvårdsbidrag"と呼ばれているようですね。

ここ↓によると、コミューンによって金額などに差異があるようです。
http://www.anhoriga.se/sv/Om-anhorigstod/Olika-typer-av-anhorigstod/Anhorigbidraghemvardsbidrag/

月額で1,000クローナから3,000クローナくらいまでの自治体が多いみたいです。新聞に書いてあったとおり、今年から義務付けになるのかもしれませんね。

投稿: kinta | 2009年6月11日 (木) 00時37分

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