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2009年6月

朝日新聞のスウェーデン記事(3)

 6月22日の朝日新聞には「公貧社会 支え合いを求めて」という特集が組まれ、「欧州の挑戦(上)」が掲載された。この記事は興味深かった。この記事の中では、ドイツやオランダ、スウェーデンなどを例に出して、「民」が政府や自治体のパートナーになって「公」を厚くする取り組みが、欧州各地で広がっていると紹介している。
 まずは、ドイツ「代理祖父母」制度の例。子育てのために母親が職に就けず、貧困から抜け出せない家庭のために、市に登録した代理祖父母が子どもの面倒をみて、働く母親の支援をしているのだという。
 次はスペインの例。地元出身の青年が就業支援の協同組合を立ち上げ、市からの委託を受け、ホームレスや移民などに就職できる技術を教えており、盛況だと紹介している。組合を立ち上げた青年は、「解雇された人への連帯感」がそうさせたと言っている。
 オランダの金属部品メーカーの例では、今回の経済危機で従業員の雇用維持が難しくなったが、政府の「時短奨励制度」を活用し、時短と研修を組み合わせてワークシェアリングで乗り切る方針だという。これは日本の「雇用調整助成金」と同様の制度ですよね。スウェーデンのボルボでも、工場の一時操業停止や給料カットを労使で合意し、ワークシェアリングで乗り切る方針だという。それに組み合わせて、職業訓練学校と連携して技能向上訓練を実施するのだという。「給料は減るが、みんなで次に来る成長のチャンスに備える」と労組の委員長が述べている。
 欧州ではオイルショックを機に福祉国家の見直しに取り組み、90年代半ば以降は職に就けない若者や女性に職業訓練を受けてもらい、積極的に労働市場に参加してもらうという方針に転換したのだそうだ。スウェーデンがまさに典型的でしょう。「子育て支援」と「職業訓練」で若者や女性の就業率を高め、世帯全体としての安定した所得を得られるようにするのが、児童手当を引き上げることよりも重要なのでしょう。日本は職業訓練や子育て支援の公的支出が他国に比べて低いのだそうだから、そこも改善しなくちゃなのでしょうかね。この不況で国の経済対策として盛んに取り入れられている手法ですが、それが根付くかどうかですね。

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シェレフテオがNHK環境特集で・・・(2)

 先日、このブログでお知らせしたとおり、(→リンク)NHKで20・21日で放送された環境特集番組「SAVE THE FUTURE(→リンク)」の1つ、「科学者ライブ・グリーンテクノロジーで未来を救え!」という番組が16時から生放送されました。番組の中では、未来の電気自動車や自然エネルギーが紹介されていました。そして、「建築」という視点から環境を考えると、木造というキーワードが二酸化炭素排出削減の一つとして考えられます。そして、究極の木造建築物の例として、シェレフテオの木造高層建物が紹介されました。トータルで5分間くらいだったでしょうか。
 1つ気になったのが、「シェレフテオ」が「シュレフテオ」という表記で紹介されたこと。表記の差なんでしょうが、「シェレフテオ」の方が一般的なのかなあと思いましたね。まあ、それは置いておいて、何が紹介されたかというと・・・「木造6階建アパート(→リンク)(下の写真)」、「木造の管制塔(→写真)」、「木造3階建の立体駐車場(下の写真)」、「木造ショッピングセンター(ソルバッケンにあるやつ)」、「木造の大学体育館(キャンパス・シェレフテオのやつ)」など、シェレフテオを代表する木造建築物の数々。シェレフテオ市では、公共の建物を建てる時にまずは木造で造れないか検討するのだと紹介されていました。
 インタビューもありました。まずは木造6階建てアパートに住む住人。「本当に快適。コンクリートの建物とは全然空気が違う。音が響かない。」と言っていました。そして、ウーランド市長は「森林資源を利用することで地球温暖化を防げる。林業の活性化をすることもできる。」と説明します。
 木造建築物は欠点があるといいます。それは木造高層建築物は壁で支えるため、自由な間取りができないということ。そこで日本から招かれたのがビッグフレーム構法を考案した住友林業の研究者・・・Dr.越後屋さんの登場です。「家族構成が変わったりしてニーズが変化したときに、自由度が高い梁と柱で支える構造で選択肢が増え、建物が長く使える」と解説しています(越後屋さん、かっこええ!)。その構法で現在、学生寮を建築中だといい(→リンク)、今後はスウェーデンだけでなく、ヨーロッパ全土に売り込んでいくのだといいます。ちなみに、越後屋さんのブログではNHKクルーによる取材の様子が紹介されています(→リンク)。
 結びでは、アンディション元県知事は、「スウェーデンは今後も産業として木造建築を推進していく。自治体と協力して木造建築を増やしていく。」と締めくくりました。
 やっぱりNHKで放送されると反響があるのですよね。放送後、「木造高層建築」のキーワードでこのブログをご覧になっていただいた方がちょっとだけ増えました。もし、ご興味がある業界の方、日本も木造の公共施設に国の補助金が増えたようですので、どうぞ新しいマーケットのヒントにシェレフテオに行ってみてください。

(写真はシェレフテオ在住の越後屋さん撮影によるものです)
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朝日新聞のスウェーデン記事(2)

 昨日の続きで、6月10日の朝日新聞朝刊の生活面に「欧州の安心(中)」が掲載されていました。今回もスウェーデンを例に挙げています。
 内容は、ストックホルムのクングスホルメン地区に住む高齢の女性を取材して、介護の民営化がもたらすメリットを挙げてあります。85歳の夫と死別した一人暮らしの女性は持病のため介護の必要性が高く、1日7回のホームヘルプサービスを利用しています。細切れの訪問は、細かなサービスを得意とする民間業者ならではのことで、利用者に好意的に受け入れられているようです。この女性も当初は、利益優先の民間業者は信用ができなかったが、必要なサービスはなんでも提供してくれて、満足のいくサービス内容なのだという。
 この記事の中でも、民営化により財政は健全化してし、サービスも多様化してきて良い傾向があるそうです。役所としても、委託後でも任せきりではないそうで、抜き打ち検査やサービス利用者にアンケートを取り、サービス内容が悪ければ契約破棄もあり得るのだという。実際に利用者からの苦情により、ケア付き集合住宅の委託契約を打ち切ったこともあるのだそうだ。
 90年代の不況の時代から始まった介護サービスの民間委託は、都市部で民間の参入率が高くなっています。私の住んでいたシェレフテオ市では、介護サービ スはすべて市の事業でしたが、大都市では民間解放が進んでいて、社会民主党が強い北部スウェーデンなどでは民間への開放が遅れているという傾向がこれまではありました。ただし、「選択の自由制度に関する法律」が1月に施行されたそうで、この法律により自治体は複数の業者と契約できるようになったのだそうだ。スウェーデン国内で290ある市の7割近くが制度を利用する予定だという。民営化の波は、左派の強い北部スウェーデンの方まで広がっていくのでしょうね。
 記事の最後の方でマリア・ラーション健康・高齢者担当大臣のコメントが載っており、高水準の福祉システムを維持するためには、雇用対策が最優先だと述べています。スウェーデン人の知り合いがよく口にしていたように、やはり「福祉と産業は両輪」なのですよね。

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朝日新聞のスウェーデン記事(1)

 最近の欧州事情に関するマスコミ報道はEU議会の選挙の話題が多かったが、6月9日の朝日新聞生活面(P29)にスウェーデンの記事が載っているのを見つけた。タイトルは「欧州の安全」というもので、シリーズでスウェーデンやドイツなどのセーフティーネットの事情を紹介していくのだという。
 第1弾となる9日の「老いを支える(上)」では、スウェーデンの介護事情を伝えている。ヨーテボリ市から車で40分のところにある「ハーリーダ市(Härryda Kommun)」に住む91歳の女性を取材し、その市には行政に「何でも屋」があるのだという。カーテンや電球を取り換えてくれたりするのだそうで、市が3年前から始めた事業なのだという。きっとこの手の事業を日本でやると民業圧迫だとか言われそうだが、この市では高齢者が家庭内の力仕事などを市の職員が代行してやることで転倒によるケガなどを防ぎ、介護や医療費用の削減を抑える狙いがあるのだという。そのスウェーデン人女性も、「家族は仕事で忙しいので、市にお願いする方が気楽」と典型的なスウェーデン人らしいことを言う。
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 このサービスはちょっと面白そうなので、ハーリーダ市のHPを見てみると、その中で紹介されていた(→リンク)。このページによると、「修理サービス」と称した行政サービスで、内容は朝日新聞の記事のとおり、依頼があれば市の職員が75歳以上の在宅高齢者の家を訪問し、無料でカーテン交換や電球交換を行うのだという。ただし、あくまで公務員の素人仕事なので、外壁の塗装などはできず、屋内での仕事だけなんだそうだ。目的もやはり、高齢者の転倒防止なのだとはっきり書いてある。
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 スウェーデンは公的福祉という側面が強いが、最近は変化もあるのだという。その一つがボランティアの存在。ハーリーダ市にはボランティア組織があり、施設を訪ねて認知症の人の世話をしたり、高齢者の話し相手になったりするのだという。といっても、ボランティアを行う会員も年配者が多いのだそうだ。ボランティアが生きがいとなり、介護される側になるのを防ぎ、介護費用抑制効果を期待されているのだそうだ。ちなみに、ボランティア組織の拠点の家賃240万円は市が負担しているのだとか。
 もう一つ、非常に興味深いのが、スウェーデンでも家族介護の役割が見直され始めたのだという。その一つに、介護者の家族への援助を義務付ける法律が7月に施行されるのだという。(←この法律の内容をもしご存じの方がいましたら、ぜひ情報提供ください。)ハーリーダ市はすでに支援金を出しているそうで、月額約2万8千円だという。日本では取り入れられなかった家族介護への支援金。ドイツなどではやってるらしいですが、スウェーデンでもその目的は介護費用の抑制なのです。家族に支払った方が、社会全体のトータルコストとしては安く済むという目論見なんでしょう。日本でもこの家族介護手当、けっこういいヒントになると思うのですけどね。

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Lexikon in my iPhone

 今日はアジアとアフリカからの留学生の方を案内する機会があったのですけど、あまりに久しく英語を使う機会がなかったので、全然単語が出てこない・・・。「地方交付税」・・・そうそうアレアレ。そうそう、ローカル・アロケーション・タックスでした。「介護保険」・・・ぅぅぅ・・・・(沈黙)。そもそも仕事で英語を使う機会なんて皆無に等しいので、だめっすね。
 多くの留学生の人から、日本の職場ってなんで机並べて、顔を突き合わせて仕事してるの?とか、僕がスウェーデンにいたときに反対に疑問に感じたことを質問してくるんですよね。その気持ちわかる。あとは、フィリピンの人から、市町村合併って大変じゃないですかぁ?フィリピンでは新市の名前とか、庁舎の場所とかでもめたりしますよとか、鋭いところを突いてくるんです。うんうんわかる、そういう問題って万国共通なんだなあと思いましたね。
 話は全く変わりますが、僕も使っているiPhone、いろんなアプリが出回っているのですけど、探してみるとけっこうマニアックなのが見つかるんですよ。最近ダウンロードしたのが、スウェーデン語辞書。その名も「Lexikon」。これ僕にはちょうどよい基礎レベルで意外に良いです。瑞→英、英→瑞なんですけど、けっこう使えますよ。それともう一つ。「Word Power Swedish」は・・・スウェーデン語単語帳。これなんてかなりマニアックだろうなぁ。ダウンロードする人なんてあまりいなさそうだし。このマニアックさ加減が良いのです。まだいまいち少数派のiPhoneですが、こんなアプリはdocomoやauにはあり得んだろうということで、ちょっとだけ優越感に浸れるのです。てか、docomoやauのOSじゃ、スウェーデン語の表記すら文字化けするでしょうからね。
 マニアックついでに、今日あたりiPhoneのOS3.0へのアップデートが発表されそうなんです。ここ数か月、このアップデートのアナウンスを心待ちにしていました。早くアップデートしてくれー、ジョブズさん。OS3.0よ、早く来ておくれ。

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シェレフテオがNHK環境特集で・・・(1)

 シェレフテオのエルスバッカ地区に建設中の木造高層アパートのことは2年ほど前に紹介したところです(→リンク)。徹底的に木造にこだわったこのプロジェクトは、ヨーロッパでも最大規模だと聞いたことがあります。このたび、このプロジェクトがNHK総合テレビの環境特別番組「SAVE THE FUTURE(→リンク)」で取材を受けたようです。木材産業の盛んな街・シェレフテオですので、いろいろな木にまつわる話題が取材されたことと思います。興味のある方はどうぞご覧ください。どれだけの時間を割いて紹介されるかはわかりませんが、放送日は6月21日(日)の16:00~18:00だと聞いています。
 関係者へのインタビューも行われたようですので、見覚えある顔がテレビに映るのを楽しみにしたいと思います。

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