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林業高校/Naturbruksgymnasiet

 シェレフテオの基礎学校(小中学校)を訪問したりして、日本とスウェーデンで教育についての考え方の違いというのを感じますが、両国の学校で最も違うのは高校かもしれません。というのも、日本の高校でも特色を持った学校が増えてはいますが、スウェーデンの高校の学校ごとの特色は日本とは比較にならないでしょう。日本の方が普通科の割合がかなり高い気がしますね。以前よりは偏差値だとか進学率ランキングというのも意味合いが変わっているのかもしれませんが、日本には依然としてそのような側面が残っていますよね。スウェーデンで高校を選ぶときには、偏差値とかそういう尺度ではなくて、学校の特色(選択コース)で選んでいるようです。
 例えばシェレフテオの場合には、4つの市立高校と2つの私立高校があるのですが(→リンク)、それぞれの高校に特色があります。ある高校は芸術に特化していたり、ある高校は工業や建築、看護や介護、経営やIT、科学に特化していたりします。将来の進路に合った高校に進学するのだそうです。日本で言うと実業高校や専門学校に近いイメージですね。
 今回はシェレフテオの市立高校のナチュールブルークス高校(農林業)にお邪魔する機会がありました(→リンク)。この高校の教育内容は、林業、狩り、馬、漁業などのコースがあります。林業は伐採や森林経営などの教育を、馬のコースは馬の世話や乗馬などの教育を、狩りと漁業のコースは狩猟と釣りなどを行うのだそうです。この高校の林業コース3年生のイエンス君と担当の先生の案内で、林業教育の内容を見せてもらいました。
 林業コースの生徒数は1学年15~20人程度とそれほど多くないのですが、卒業生の就職状況は良好で、卒業前に地元の林業関係企業に就職がすべて決まるそうです。数人は大学の林業課程に進むそうですが、企業からの求人は引く手あまたの状況なのだそうです。なにしろ、スウェーデンの林業は機械化が高度に進んでいて、伐採や運搬などもハイテク機械を使って行っているので、高校の課程でも林業機械の操作をシミュレーターや本物の機械を使って徹底的にマスターさせるのだとか。実際にシミュレーターも体験させてもらいました。林業機械には伐採を行うハーベスター(→製品例)と、運搬をおこなうフォワーダー(→製品例)の2種類が主にあるのですが、操作はかなり難しいです。シミュレーターは1台3千万円近くするという高価なもの。ゲームセンターにあるゲーム機のもっとリアルなものです。2つのハンドルと数々のボタンを使い分け、伐採や運搬の練習を行っています。特にハーベスターという機械は高度な操作技術を要求されるようで、1つのボタンに8つの機能があり、そのボタンが8種類ほどあるので、限りない組み合わせの3次元的操作が可能なのです。ヘリコプターの操縦と同じくらい難しいのだとか。
 そのほかにもこの高校の特色としてはエーカと呼ばれる教育方法を数年前から取り入れているのだとのこと。どんな教育方法かというと、普通に生徒が机に座って先生の授業を聞くのではなく、5・6人ごとのグループを編成してミッションとよばれる実践的な課題を与えられ、1~2週間かけてグループで解決していくのだそうです。ミッションと呼ばれる課題も例えば、親戚の林家に森林経営についてのアドバイスを頼まれ、より効率的な森林経営や損益についてアドバイスしたり、アメリカの企業から経営参加の申し出があってそれに対応していくだとか、なにしろ具体的な課題なのです。生徒たちは先生にアドバイスを求めたり、本やインターネットで調べたりしながら解決方法を探っていくのだとか。課題を解決する過程で、森林管理や経営の知識、数学や英語の知識を総合的に使っていくのです。先生も教えるというよりは、問題解決に向けたアドバイスをすることを中心に指導していくのだとか。まさに問題解決手法の練習ですね。ただし、この教育法も長短があり、非常に優れている部分もありますが、通常の教育方法に比べて劣っている部分もあるのだとかで、試行錯誤が続いているそうです。しかし、生徒達には好評のようです。実践に即しているので面白いし、受身ではない教育が受けられるのだそうですしね。
 実際に目にしてみると、教育方法には色々あるんだなあと考えさせらた体験でした。(写真は1枚目が校舎、2枚目が給食風景、3枚目がハーベスターのシミュレーター、4枚目がフォワーダーのシミュレーターです。プレステじゃありませんよ。)
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コメント

私が高校生のときは将来の進路なんて何も考えていませんでした。何しろ天職に出会ったのは30代ですから。だから将来の進路を考えて高校を選ばなければならないのはちょっとキツイ気がしますね。
でも、この教育システムはいいと思います。日本のようなやり方だと知識は増えても実社会で役立たなかったりしますから。逆に短所として考えられるのは広範な知識を得にくいことでしょうか。それに、もし進路変更をしたくなったらどうするんでしょうかね。
写真も興味深く拝見しました。カフェテリアの壁にかかっているムースの角が北欧らしいですね。秩父のパンフも見逃しませんでしたよ;)

投稿: ぴーなっつ | 2008年3月20日 (木) 13時03分

中学から将来像が描けるのは素晴らしいですね。ただそれらの高校へ進むのは本人の希望と思いますが、またまた日本の田舎のように高校が少ないところでは成績で進むべき高校が振り分けられたりしますがいかがでしょうか?林業から急に法学や経済をを目指したりするのは特化しすぎると難しいと思いますがそんな人は少ないのでしょうか?
あと日本では工業や農業系の高校は女子の進学が少ないですが写真を見ますと女性も進学してるんですね。

投稿: ドラ吉 | 2008年3月21日 (金) 00時11分

ぴーなっつさん

僕もそうでした。僕も高校生のときは具体的な進路ってあんまり考えていなかったですね。日本の教育は知識詰込み型だって言われてますけど、たしかにそんな感じがしますね。良い所もあるのでしょうが。試験が色々な場面であるのも日本的なところですかね。

秩父のパンフ・・・見つかっちゃいましたね。シミュレーターの下敷きにされてました(笑)。

ドラ吉さん

そうなんです。僕も思ったのですけど、成績(偏差値)で振り分けられるってのは、基本的にないらしいですよ。将来の進路とか生徒の興味が高校の選択基準だと言ってました。

僕も心配なのが、途中で興味が変わったりとか、社会情勢が変わったりとかしたときはどうするのかなあと。スウェーデンでは高校を卒業した後に、一度就職してその後で大学に戻るケースが多いのです。自分に必要なスキルを大学で専門的に学んだり、職業教育も充実しているので、学び直しってのができるんですよね。そこはちょっとうらやましいです。

スウェーデンって産業(職業)と教育がかなり関連が深いなあと思いますよ。行政の方も、産業界が必要としている職業教育を用意していくみたいな傾向があります。工業国からITなど知識集約型産業の国に変容できたのも、行政がその方面の教育を積極的に行ったからみたいです。行政がリードして産業構造を変えている気がするんですよね。

投稿: kinta | 2008年3月21日 (金) 16時29分

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