« フィーカ(2)/Fika vol.2 | トップページ | 皇帝の新しい服/Kejsarens nya kläder »

ターニングポイント(1)/Turning point vol.1

 先日、国際NGOナチュラル・ステップ・インターナショナル日本支部代表の高見幸子さん(→リンク)にお会いして、スウェーデンのことや、環境関係の話題など貴重なお話を聞く機会がありました。ご本人のご了解もいただいたので、何度かに分けて書いてみたいと思います。
 高見さんは30年以上スウェーデンにお住まいになっている方なので、環境面だけでなくスウェーデン事情にとてもお詳しいので、少子化の話なども聞いてみました。その中で、ちょっとヒントをいただいたので今回はそれを書いてみます。
 かなり前に日本にもスウェーデンにも「団塊の世代(ベビーブーマー)」があることを紹介した(→リンク)のですが、それ以降の出生率は日本もスウェーデンも抜きつ抜かれつの時代が続いていました。しかし、1985年頃に日本がスウェーデンに出生率で抜かれて以来は、追いつきそうな勢いがなくなってしまいました(→合計特殊出生率の推移)。人口7万2千人と同規模のシェレフテオ市と秩父市を比較しても、1990年前後に生まれた15~19歳の人口に著しい差が見られます(下のグラフ参照)。1980年代後半から90年代初頭といえば、日本ではバブル景気の時代。実はスウェーデンでも景気が良かった時代です。景気(雇用)と出生率に関連があることは一般的に考えられることですが、同じように景気が上向きの中、なぜこの時期に明らかな差がでてしまったのか、ちょっと疑問ではあったのです。どう見ても、その時期がターニングポイントだったように感じるのですよね。
 この時期にスウェーデンで何があったのかというと、「両親保険」という制度の拡充があったのだそうです。両親保険という制度、要は育児休業中の親の収入補償の制度なのですが、国の保険制度により出産前の収入の8割を育児休業中に補償してもらえるというものです。しかし、例えば1子を出産したあとに、母親が休業中だったりパートタイムで働いている場合には収入減になっているため、第2子の育児休業の際には減った収入の8割という額しか受け取れず、第2子の出産の際には意外に不利な状況があったようです。それを避けるために、スピードプレミアムとよばれる特例があって、一定期間内に次の子供(例えば2子目)を産むと、遡って第1子の出産前の収入額の8割を受け取れるというルールがあるのですが、その一定期間を1980年に「2年以内」に、1986年に「2年半以内」に延長したのだそうです。2子目の駆け込み出産が増えたのかどうかはわかりませんが、このスピードプレミアムの延長が出生率向上に一定の効果があったことは一般的に認められているようです。この時期に両国の差がぐっと開いてしまったのでしょうね。しかし、今ではスピードプレミアムの出生率向上に対する効果も薄れてきているらしいですけれど、2子目を生むなら2年半以内が経済的には有利なことは変わりありませんね。そういったインセンティブの与え方が上手なのはスウェーデンの特徴なのだそうです。
Population

|

« フィーカ(2)/Fika vol.2 | トップページ | 皇帝の新しい服/Kejsarens nya kläder »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« フィーカ(2)/Fika vol.2 | トップページ | 皇帝の新しい服/Kejsarens nya kläder »