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ターニングポイント(2)/Turning point vol.2

 「高見さんに聞く」の第二弾です。もう1つのターニングポイント、環境について書いてみます。
 スウェーデンが先進的な環境政策を持っていることは有名ですが、周りのスウェーデン人の生活ぶりを見ていると、環境意識の高さについては日本人と大して変わらないのではと思うこともしばしばあります。特に節電などの「もったいない」意識は日本人の方が上ではないかと感じます。その辺の環境意識の違いを高見さんに聞いてみたのですけれども、高見さんも日本人の環境意識はそれほど低くはないと感じておられるようです。しかし、特に温暖化ガスの削減においては、なぜこれほど両国で差がついてしまったのかというと、やはり環境税制の差だと高見さんは語っていました。
 スウェーデンで温暖化ガス削減に効果をあげているのが「二酸化炭素税」といわれています。これは1991年から施行された税制で、主にガソリンなどの化石燃料に課される税です。ここでは詳しくかけませんが、ここ(→リンク)を見ていくと炭素税の概要が書かれています。京都議定書の日本の削減目標は-6%(1990年比)ですが、既に2006年には90年比約6%も逆に増加しているそうですから-12%を達成しなければなりません。高見さんによるとスウェーデンでは90年比で-9%になっているそうで、仮に炭素税が導入されていなかったら20%程度増加していただろうとの推測もあるそうです。それくらい炭素税が二酸化炭素排出削減に果たした役割が大きいというわけです。
 スウェーデン人がいくら環境意識が高いといっても、目の前に「環境に優しいが値段の高い商品」と、「値段は安いが環境への配慮がない商品」が並んでいた場合には、8割方の人は値段の安い方を選ぶ傾向があるそうです。やはり、いくら意識が高いといっても、人間の経済観念には勝てないのですね。その意味でも、環境に優しくないものには政策的に値段を上げていくという方法以外に、現実に効果をあげられるやり方はないのかもしれませんね。ここでも誘導政策が上手いのがスウェーデンのやり方なのだと高見さんは語っておられました。日本とスウェーデンの二酸化炭素削減の明暗を分けたターニングポイントは、1991年だったのかもしれませんね。日本が本気で京都議定書の目標を達成しようとするなら、スウェーデンの経験から見ても、環境税制以外にないのではないでしょうか。
 しかし、新税などとというと産業界はもちろん一般市民からの反発が予想されるでしょうが、スウェーデンの考え方で面白いのは、炭素税創設は所得税減税とセットで行われたことです。炭素税を導入する代わり所得税減税を行うという税制中立の考え方です。なので、化石燃料を使わない生活を送っている人にとっては、所得税が減る分は実質減税なのです。したがって、この炭素税は目的税ではなく所得税と同じ一般税です。僕にとってはこのやり方が興味深いです。日本で環境税が語られる際には、目的税(増税?)として議論されることが多いですから。かならずしも環境税導入=家計の負担増とも言い切れないのです。産業面でも法人税の減税など他で減税効果がある方法をとれば、プラスマイナス0になるのではないかと素人考えながら思ってしまいます。
 長くなりますが最後にもう1つ。石油資源を持たないスウェーデンでの環境政策、その背景には中東が持つ石油に依存しないという戦略的な考え方(アメリカにも多分に同様の流れがあるようです)があります。例えば、オイルショック後から地域暖房を積極的に整備してきたのもその流れのようです。また、環境技術を環境ビジネスに結びつけようとするしたたかな考え方もあり、こちらも見逃せない部分なのです。
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※環境税制のことについては、Yoshiさんも詳しく書かれています。→ココココ
※産業界の反対意見もよく見ておかないとですね。→経団連の反対意見

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コメント

質問があります。
スウェーデンに滞在中、余った料理をビニール袋に入れていました。
日本ならサランラップ使いますよね。

今度の小包で内緒でサランラップを送ってあげようかと思ったのですが、
ネットで検索すると昔の個人のブログの中でダイオキシンの関係で使わなくなったとありました。

これって本当なんでしょうか?

投稿: | 2008年2月27日 (水) 18時57分

なるほど 勉強になります。
日本はまずペットボトルのポイ捨てをやめましょう。道路の中央分離帯になぜあんなにペットボトルが捨ててあるのか?先進国ではアメリカのスラム位なのにね。
日本は今食料自給率の低さが話題になっておりますが、スウェーデンはどうですか?

投稿: ドラ吉 | 2008年2月27日 (水) 23時18分

ラップの話、初耳です。スーパーに行くと日本の程は質が良くないラップを売ってはいますが、ダイオキシンがでるとは・・・。ちょっと職場の人たちに聞き込み調査をしてみますね。

どら吉さま

ペットボトルはスウェーデンではデポジット式ですね。500mlのペットボトルだと1クローナ(18円程度)のデポジットが課されています。なので、たまにゴミ箱をあさってボトルを集めている怪しげな人もいますね~。価値があるとなれば、捨てないどころか拾い集める輩もいるのですね。清掃は楽になるし、それに払う税金も安くて済みますしね。掛け声だけじゃ難しいのかもですね。その辺はスウェーデン流のやり方は合理的かもしれませんね。
http://swedenlife.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/deposit_system_689e.html

食糧自給率、スウェーデンでは果物や野菜などを除いてはかなり高いです。下のリンクを見ると日本は異常に低いですね~。というか先進国でも低下しているのは、この資料の中では日本とイタリアくらいじゃないですか。高見さんもおっしゃっていたのですが、日本は農林業を犠牲にしすぎですよね。他の国が食糧自給率を増やしているのは、やはりエネルギー問題と同様、安全保障戦略の一環なのでしょうね。マグロや穀物の問題といい、将来の食糧問題が心配です。兵糧攻めにあったら一発でアウトですね。
http://www.kanbou.maff.go.jp/www/fbs/dat/2-5-2-4.xls

投稿: kinta | 2008年2月28日 (木) 07時49分

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