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折りたたみギター/Foldable guitar

 今日は、シェレフテオにあるユニークなギターメーカーを見学する機会がありました。実はこのベンチャー企業、「折りたたみギター」を製造するおそらく世界で唯一の会社です。本社はシェレフテオの起業支援センターにあり、まだ設立して間もない小さな会社です。この折りたたみギターのメカニズムは、ヨーロッパと日本で特許を取得しているというスグレモノ。この技術が生まれた経緯というのもユニークで、スカンジナビア航空のパイロットでギタリストでもあったFredrik Johanssonという人が、飛行機の手荷物として持ち込めるギターをどうしても欲しく、自らの手づくりでプロトタイプを製作し、実用化に至ったというユーザーサイドからの発想でした。
 シェレフテオでの起業支援の仕組みについては以前も書き込んだ(→リンク)ところです。実際にこの起業支援センターを訪れるとかなり立派なものでした。日本では「スタートアップオフィス」などと呼ばれる類のものでしょう。この中に十数社のベンチャー企業が入っています。産学官の行政側の役目として、企業育成のために運営されているものです。
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 いよいよ、この会社の入り口のベルを鳴らしてみると、CEOのLeif Rehnstromさんが出迎えてくれました。この会社の名前は「DeVillain Guitar Company(→リンク)」といい、実はこの方、現役のミュージシャンです。そのバンドは「The Drowners(→リンク)」といい、かなり有名なバンドのようで、日本でもCDが発売されています。彼はギタリストとしての音楽活動の傍ら、音楽関係のビジネスを手がけているのです。会社と言ってもまだ小さなもので、工場の中ではギター職人がたった一人でギターを組み立てていました。
 CEO自ら、このギターの仕組みなどを説明してくれました。折りたたみにかかる時間はほんの十数秒。専用のバックパックに収納でき、持ち運びも楽々。折りたたみだからといって音質が悪いわけではなく、不思議なことに通常のギターと遜色ないのだとか。折りたたんでもチューニングは狂うことはほとんどなく、広げてすぐに弾ける状態なのだそうです。ただし、供給体制がまだ十分ではなく、1本ずつ手作りのため1日1本、年間でも200本程度が今のところは限界のようです。マホガニーとカエデでできたパーツで本体を組み立て、弦を巻き取るアルミ製のシリンダーの部品などを取り付けていきます。このシリンダー部分と折れ曲がる蝶番のところがこのギターの肝なのですが、この2つの部品のコストがかなり高額なのだそうです。このギターのお値段は、送料と収納用バックパックを含め3,370USドルで、インターネットでの注文もできます。ちょっと高く感じますが、手作りのギターとしては平均的な価格のようで、今までに返品されたものは1つもなく、出荷前にはプロのギタリストであるCEOが自らテストをするそうで、品質に対しての自信の程が伺えました。この技術を使った「折りたたみベース」も開発中なのだとか。飛行機の手荷物で持ち込めるのはもちろん、東京の地下鉄の中でもきっと便利でしょうと話していました。
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コメント

僕も折りたたみ式エレキギター気になって調べてみてたんですが、パイロットとはスカンジナビアン航空のパイロットだとは知りませんでした。それにしてもスウェーデンのミュージシャンは音楽とは別の仕事も持たれている方が多いように思います。
何年か前ANAのパイロットも4人組バンドとしてCD出した事があったんですが、今は活動してないと思います。
ちなみにギターは確かに機内持ち込み禁止ですが(受託手荷物として貨物室に預かります)、オーバーヘッド・ストウェッジに入る大きなであれば持ち込みも可能です。
この前の巨大ムースの話もそうですが、夢と希望を実際に形にしていくスウェーデンって素敵ですね。

投稿: まこっちゃん | 2007年12月12日 (水) 16時50分

まこっちゃんさま

このパイロットの方が作ったという試作品はすごかったです。以前技術的な仕事の経験もあるとかで、手作りですべて金属部品まで仕上げてあって、信じられないくらいです。スウェーデンの人って器用というか、創作意欲が旺盛なのでしょうかね。

Leifさんには、日本にもThe Drownersのファンがいることを伝えておきましたよ。僕はサインもいただいてしまいました。まだ日本でライブをしたことはないようですね。

ではまた。

投稿: kinta | 2007年12月13日 (木) 04時13分

Hej, Kinta san!
スウェーデンを離れられてから1年近く経って、日常生活に忙しくて、スウェーデンはもう過去の話になってるだろうな、と勝手に想像してご無沙汰していたので、しっかりブログが続いているのに驚き感心しています。
世界同時不況の影響をスウェーデンもしっかり受けていますが、この折りたたみ式ギターのDeVillain GuitarもKonkurs(倒産)に陥ったとうわさに聞きました。でも今ネットで見たら、会社を売却したのでしょう、別の主体がベトナムで生産を始めたようで、アイデア自体は生きつづけるようです。アイデアやデザインを開発しても、製造まで国内で存続させるのは至難の業なのでしょうね。この1年、というより半年、あれよあれよという間に、ずいぶん世の中が変わった感じで、Kintaさんがいらした頃あんなに盛んだった製材業が、みな青息吐息、生き残りを賭けて、熾烈な統合競争が始まっています。きびしい現実ですが、森が伐られずに残るのはいいかなと思ったりしています。

投稿: | 2009年2月13日 (金) 10時13分

ご無沙汰しています。
そちらはだいぶ雪も寒さも厳しそうですね。

ギター会社、倒産ですか。実はこの前、会社のHPを見たら表示されなかったのでおかしいなあと思っていました。大量生産というわけじゃなかったので、経営としては厳しかったのですかね。あれだけ宣伝されてたので、ちょっと残念です。

製材業もそんな状況とは…。まったく世界同時不況ですね。

投稿: kinta | 2009年2月14日 (土) 10時31分

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