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人事制度/Personnel system

 スウェーデンで暮らし始めて約5ヶ月が過ぎました。色々な表面的な違いが見えてきたものの、それが制度や法律などの枠組みの違いだけが原因ではなく、その文化的な背景や価値観がそうさせているのだなあと感じることがよくあります。意識や価値観まで掘り下げていかないと、見誤ってしまうなあと最近つくづく感じますので、その辺りを少しずつ書いていきたいと思います。
 例えば、日本の役所とスウェーデンの役所の相違点の一つに人事制度があります。日本の市役所や都道府県庁などでは、数年おきに色々な部署への人事異動をしながら昇格していくジョブローテーションというのが一般的です。技術職、専門職の方は別として、一般事務職では学生のときに身に付けた知識とは関連しない部署へも異動があります。スウェーデンではどうかといいますと、あるポストに対して求人がされるので、関連がない部署へ異動するということはあまりないようです。スウェーデンの人にはそんなに頻繁に異動して非効率ではないのかと考える人もいますし、日本のジョブローテーションの制度は改めた方がいいと書かれた本も見かけます。どちらがよいかは別として、これには雇用制度や文化的な背景が影響しているのではないかと思います。
 日本の役所では、地方公務員法などで公務員ができることに色々な制約がある代わりに、終身的な雇用が一般的です。民間企業から役所に転職したり、また逆のパターンも最近は増えているかもしれませんが、割合からしたら多いものではないでしょう。スウェーデンでも労働組合が強いこともあり、公務員の一方的な解雇というのは難しいようですが、民間企業から公務員の職に就いたり、その逆のケースも珍しくはないですし、部長級の職員が民間出身というケースもあります。現に私の上司である人も、数年前まで会社経営をしていて、2、3年前に部長級の職に就いたそうです。また、スウェーデンでは公務員をやめても、失業保険の適用があるのだそうです。日本にそれがないのは、基本的にそのようなケースが想定されていないからなのでしょう。
 日本の終身雇用制度は、最近変わりつつあるといっても、その背景にあるものは組織への忠誠心とかそのような儒教的な価値観を基盤に続いてきたのでしょう。欧米で転職に抵抗がないライフスタイルは、そういう価値観がないからなのでしょう。欧米の企業には成果主義のような考え方も普及しているため、あくまでその仕事に対して専門的である必要があり、即戦力である必要があります。日本では、組織内での色々な部署で経験を積みながら、長期的な視野で仕事に対する能力を高めていくという考え方が背景にあるのでしょう。どちらの方法にも長所がありますし、どちらが良いかを判断するのも難しいのですよね。仮にどちらが効率的かというのを定量的に計算ができたとしても、人々の意識が変わっていかない限り、新しい制度が社会に根付かない気がします。制度を変えるためには、時間をかけて意識を変えていかないといけないし、そっちの方がずっと大変なのだと日々感じています。

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